2009年2月26日 (木)

衛生管理

昨今、問題となっています医療機関での感染について、当院での取り組みを記したいと思います。

ほとんどの歯科医院では、器具を高圧蒸気滅菌やガス滅菌で対応していると聞きますので、歯科全体としてあまり不安に思うことはないと思います。

注射針の使いまわしなどは大変恐ろしい行為ですし、そのようなことはあってはならないことだと思います。

当院では、通常の滅菌消毒に加えまして、歯に接触しないハンドピースや水洗乾燥のためのシリンジなどにも患者毎に滅菌するようにするため、2台の滅菌器が存在します。

口腔外バキューム、これは歯の切削の際に飛び散るものの吸引を防ぐために口腔外から吸い取るもので、これを使用することは、患者の呼吸器への感染予防だけでなく、治療室を汚さないという他の患者への感染の危険性を低下させることができます。

また、細かい話ですが、口をゆすいだあとに紙ナプキンをお渡ししております。

これは意外に、重要です!

お口をゆすぐと、それを手で拭こうとする方がいらっしゃいます、その手で治療椅子や、ブランケットに触れますと、それを触った人に感染が起こる可能性があるからです。

『お口はこのナプキンで拭いてください!』というと、嫌な顔をされることがありますが...意味があるんです。

もちろん、治療椅子の消毒はいたしますが、あらゆる可能性を考えて滅菌消毒に努めています。

紙ナプキンのようなディスポーザブルになるものはできるだけ取りいれて対処しております。

歯科は金属性の器具を使うことが大変多いので、滅菌を繰り返すことでイタミも早いですが、清潔な環境下で治療することが全てに優先され、コストは二の次です。

手術の際には、上記のことに加えてさらに厳しい衛生管理のもと行っております。

 

オオタケデンタルオフィス 大竹貫洋

 

2009年2月21日 (土)

歯を抜かない

歯科インプラントという治療方法が大変世の中に広まってきたのは、この分野における技術の発展によるものであることは疑いのないことです。

インプラントばかりを研究してきた医師は、インプラント治療の優位性を唱え、治療のスタイルはインプラントをゴールとして考えていくのかもしれません。

ご承知のようにインプラントは、抜歯後に、欠損の部位に行われる手法です。

歯の神経を残す、抜歯をしないようにするために、歯の根の治療に技術を磨いている医師は、インプラントをゴールとして考えていないのかもしれません。

私のゴールは、後者です。自分の歯で噛むこと、です。

もちろん、はじめから歯のない患者に対しては、インプラントをすすめます。自信をもってすすめます。

なぜなら、インプラントによって、隣の歯であったり、反対側の歯、相対する歯を守ることができることを強く強く感じるからです。

最近、地味かも知れませんが、ラバーダムを用いて、歯の根の治療をして、歯を抜かないことへ特に執着しています。

インプラント治療にならないために!

では午後のインプラントオペと骨造成、しっかりやってきます。

大竹貫洋

2009年2月17日 (火)

シミュレーション

ブログは、広くみなさんに読んでもらうもの、と承知しておりますが、やはり専門的な言葉も少し(?)用いながら書いていくことにします

突然ですが、飛行機の安全を検証するとき、飛行機1機の衝突試験をすることを想像してください。お金がかかりますね。 このような実験を、実際行わないで安全性の追求ができないか、ということを研究者たちは考えました。 数学的に。

物体の表面の硬さ、厚み、密度、重さ、速度、摩擦...などなどを要素として代入した計算式によって、実際に壊さずして、予想するというものです。これは歯科医学の研究にも存在します。

"ここで噛むと、噛んだ食べ物の硬さなどはこうだから、顎に付着する筋肉の力、ベクトルはこうなので、関節にはこんな力がかかる"

"奥歯には力がこれだけ加わって、前後の歯の健康状態(例えば揺れてる)はこうだから、何々の材料を用いると壊れる可能性がある"

などのシミュレーションができる可能性があるわけです。コンピュータ画面上で。

有限要素法という手法を用いて、いろいろな研究機関で、歯科材料に関する、あるいは材料にとどまらず、歯自体を壊さないための人工修復の形態なども調べられてきています。

"機能と形態" 研究者として没頭した頃の、客観的な目を忘れずに最新医療を提供していきたいと思っております。

大竹貫洋

2009年2月 9日 (月)

歯医者は嫌いですか?

歯医者が嫌い、という人は非常に多いです。

理由は、痛いことをされそうだし、怖いから。

確かに、歯を削る機械の音、注射、何かにおいのする材料・・・、怖い要素はたくさんありますね。

ですが、注射ひとつにおいても、表面麻酔の使用、刺入する場所の選択、細い針の使用、薬液を注入する際に余計な圧力をかけないことや薬液を温めること、などさまざまな工夫をすることで、注射の痛みは最小限に抑えられます。

私は治療で注射をした際に、痛かったですか?と聞くことにしています。

痛みの感じ方には個人差がありますが、痛かったです、といわれることは今はほとんどありません。それでも、痛かった、といわれた場合には、もう一度、どこが痛みを生むポイントになったか、考え、見直し、次に生かすようにしています。

ほかでも、治療時に痛みが出ないような工夫を私たちは常に行っています。

一番痛いのは、怖くて、歯医者にいけなくて、虫歯や歯周病が進行してしまったときだと思います。

虫歯も小さなうちなら麻酔しなくても痛みのないまま治療ができますし、歯周病も早い段階なら歯石の除去と歯磨きの徹底でそれ以上の進行を止められます。

だから、怖がらないで、嫌いにならないで、まずは来てほしいのです。

怖い、という気持ちの中には、何をされるかわからない不安もあるのではないでしょうか。不安から痛くなくても痛いような気がしてしまうこともあります。

そういう思いからも、今の状態の説明や治療方針に関する説明を徹底し、ひとつひとつ相談しながら行っています。

安心して、治療をしに来てもらえる、会いにに来てもらえる、そんな場所になれたら嬉しいです。

小椋麗子

2009年2月 6日 (金)

セラミックインレー

今日午後最初の患者は、歯科医でした。

セラミックインレーをセットをしました。セラミックインレーを接着する際には、歯面を酸で洗ったり、乾燥させたりします。その場合、生きている歯ですので、シミル可能性があるのです。

そこで、『酸処理、エアブローのとき痛かった?』と尋ねましたら、『全くしみない』とのことでした。

これは、絶対ではありませんが、レジンコーティング法による象牙細管の封鎖がしっかりとなされていた結果だと思います。

このレジンコーティング法は、3年前に歯科医師向けに本にも書きましたが、全ての歯科医師が行っているとは限らないようです。

僕の経験では、正直に言いまして、レジンコーティング処理がなされた場合でも、接着時に『しみる』という人は30%くらいはおります。が、接着後にその感覚が続くという人は殆どいません。

レジンコーティング法の利点は、術後の知覚過敏が減る、ということよりも...歯とセラミックの剛体条件の恒久化(言いすぎ?)にあると、思っております。

どういうことかと言いますと、例えば草が生えている(象牙質表面を例えております)ところに、しっかりとしたビル(セラミック)を、しっかりとした土台(硬化後のセメント)で建てた場合を想像してください。

少し心配です...

やはり、草が生えてる土の部分をコンクリート(レジンコーティング法)か何かで補強してから建てたいと思いませんか?

時々患者からこんな質問があります。

セラミックインレーとメタルインレーは色の差ですか?

と、僕はそうとは考えておりません。  メタルインレーは、歯との間に嵌合材料を介して作られたパッチワークのようなイメージです。  セラミックインレーは、有機質の豊富な歯の内面から再構築されていくイメージです。 1.セラミックインレーは咬合(かみ合わせ)に耐え得る性質を有し、2.接着される側の象牙質には有機質を優しく保護しながら、セラミックインレーへの歪を大きくさせない材料(レジンコーティング材)が必要で、3.その間をそれらの中間的な性質と流れを有するセメントによって再構築させる治療方法だと、差を明確に感じております。

一言に、"歯を修復する"というのは、1つの材料で行うことでは乱暴な発想なのかも知れません。1つの修復によって、歯の象牙質とエナメル質の補強を同時に行わなければならないのですから。

材料の膨張収縮の"量"、膨張収縮の"方向"(これ意外に大切)を考え、レジンコーティング材料はなるべく薄くしたりすることも大切で、その具体的な方法も当院では工夫を重ねてきました。カナダにいるときには力学的観点からそれらをシミュレートできないか...と試みましたが、なかなか難しい問題でした。

またスタッフに、『先生の文章はわかりにくい』と怒られそうですので、今日はこのへんで

大竹貫洋

2009年2月 2日 (月)

2月になりました

はじめまして。月曜担当の小椋です。

毎日寒い日が続きますね。

風邪が流行していて、治療中お鼻で息ができなかったり、咳が出てむせてしまう人が急増中です。

さて、先日歯科の材料に関する研究をされている先生の講演を聞く機会がありました。

私の大学時代に教えていただいた先生なのですが、詳しい研究内容を聞いたのは今回が初めてでした。

先生は30年間、ずっと歯と材料を接着するセメント類の接着する力の大きさをしらべていて、さまざまな材料と歯をセメントでくっつけて、壊して、という一見非常に単純な実験を、気が遠くなるほどの回数行っているということでした。

何が言いたいのかというと、

歯科は材料をとてもたくさん使います。それらは、温度が高く、湿潤で、細菌もたくさんいる口の中の環境に耐えて、人体に無害である必要がある、とてもいろいろな条件を満たしたものでないといけないのです。

そして、そういった材料は、小さな小さな、そして地道な実験を積み重ねて開発・改良され、皆様の口の中で使われることになるのです。

当たり前のことかもしれません。

でも、こういう実験を人生をかけて行っている人がたくさんいて、それによって日々歯科医療は進歩しているのだなあと感じたので、思いつくままに書いてみました。

すぐに結果が見えなくてもとにかく続けることで何か見つけられる、とその先生は講演を締めくくっていました。

その姿勢を見習って、私も日々治療に励みたいと思います。

小椋麗子