インプラント 骨の移植 リスクの分散
確かに、インプラントによっていろいろな意味で可能性は広がったように感じます。
ただ、それでもリスクををなるべく小さくすることは大切です。
移植骨の信頼性、インプラントの位置(審美性や機能性を考慮した)の妥当性、治療期間の短さ、予後の安定性等、我々医師は患者の利益、不利益になるかも知れないことを深く深く考えなければいけない。
術前のレントゲンには、4本分のインプラントを予定してマーキングがあります。
左から1,2,3,4とそのマーキングを呼ぶことにします。
1.の上に見える歯の根のような形をした骨の吸収像、これは抜歯をした後の像、骨は十分にありませんが、後方には骨が十分あります。
2.マーキングが5mmなので、分かりやすいですが、骨は2,3mmしか存在しません。
3.ここの骨は3,4mmです。
4.ここには、十分な骨が存在します。
術後のレントゲンです。
2,3の部位のインプラントの周囲を見てください。
白い像がありますが、これが自家骨および人工骨の像です。
骨は、上顎洞の存在していた空間に"シュナイダー膜"という軟組織によって包まれながら存在しております。
1,4については、CTによって立体的に計測された骨の十分厚い場所に、"骨内"に位置させ、初期の固定、予後の安定の観点からも、少し傾斜をさせながら埋入しています。
4に関しては、この2次元レントゲンでは表現しきれない配慮もなされています。
機能性だけでない、"審美性"です。
尖った山のような骨にインプラントを打つことは大変難しいです。
その尖った山を、広げることで、また、頬側に骨を移植することで、もともとの歯のような膨らみのある歯肉形態を獲得しなければなりません。
入れ歯、によって、歯を失うスピードも速くなることもあります。
"現在ある歯を守る"ために、インプラントはとても大切な革新的発想であることは間違いのないことだと思います。
大竹貫洋