歯は咬合時に動いています。
今回から大学で行われている基礎研究についてご紹介していこうと思います。
私が研究している内容は、機能時の歯の微小な動きに関することです。
クラウンを作製したとき、どのように咬合接触を与えればよいのかというところを目的に始まりました。
そもそも間接法でクラウンを作製した場合には200?300μm高く出来上がることがわかっています。
それは印象時の歯列弓の形状の変化、歯周組織の持つ粘弾性、さらに印象時、咬合採得時、石膏模型作製時、ワックスパターン作製時、埋没・鋳造時、の各過程での材料の膨張収縮、咬合器装着の誤差、等が原因と考えられています。
咬合していない状態でも開閉口時に骨は歪んでいるのです。印象採得は開口して行われるのでそれだけでも誤差が生じてくることが明らかです。
また、歯周組織の持つ粘弾性、つまり印象圧による変形ももちろん再現できず誤差につながります。
ほかの材料的なエラーを含めて考えると、結局どんなにテクニカルエラーをなくしても、200?300μmは高い補綴物が出来上がるのです。つまり、必ず咬合調整が必要になります。
咬合調整する際に、最終的なゴールをどこに設定するのか。
咬合性外傷を起こさないようにするための、あるいは歯根膜の廃用性萎縮を起こさせないようにするための、歯周組織に調和した咬合とはいったい何なのか。
これを知るために、まずは歯が機能時にどういった動きをするのかということが調べられるようになりました。
歯根膜や歯槽骨が、咬合によって歪み、そのため機能時に歯が動いていることがこれまでの数々の研究で明らかにされています。
歯の変位に関する研究内容については次回以降詳しくお話させていただければと思います。
小難しい話なのに長くなってしまいました。
今後もう少しスマートにまとめていければと思います。
オオタケデンタルオフィス 小椋麗子