歯は咬合時に動いています。 その3
変位の話の続きをしていこうと思います。
お話しているように、歯は咬合時にある一定の方向へ動くことが報告されてきているのですが、
歯の咬合面の、荷重を加える位置によって動き方が変わることも報告されています。
たとえば上顎第一大臼歯の頬側1点に荷重を加えた場合と口蓋側1点に荷重を加えた場合には動く方向も量も異なります。
基本的に頬側1点のみで咬合させたときの方が口蓋側1点で咬合させたときよりも大きく変位します。
口蓋側1点で咬合させたときには咬頭かん合位の際の変位に近い動き、すなわち口蓋側あるいは口蓋側歯根方向へ変位し、頬側の場合には頬側方向への成分が多くなることが確認されています。
このような差が生じることには、頬側と口蓋側の歯槽骨の厚みの差が原因していると考えられています。
健常者の咬頭かん合位やタッピング時の変位の方向を正常とした場合に、それとは異なる方向へ変位することは歯周組織との調和を乱し、咬合性外傷につながる可能性があると考えられています。
つまり、歯根の形態、骨の形態や厚みなどの解剖学的形態と歯周組織の粘弾性には関係があり、これらの両者から、咬合面上の力を加える(咬合力が加わる)位置を変えることで、歯の変位の方向や量に違いが生じるのであろうと考えられています。
ゆえにどこに力が加わるとどのくらいの量どう動くということを把握した上で咬合調整を行うことは、歯周組織と歯の調和を目指すときに不可欠であろう、ということで、私も日々測定に解析に励んでいる状況です。
大雑把に説明させていただきました。
また随時ご紹介させていただけたらと思います。
オオタケデンタルオフィス 小椋麗子 www.o-dent.com