歯は咬合時に動いています。その2
本日もまた、歯の変位の続きをご紹介していこうと思います。
前回お話したように、正しい咬合調整のゴールを求めて歯の変位の研究が始まりました。
咬頭かん合位における噛みしめ時に、上顎臼歯は主に口蓋方向あるいは口蓋側歯根方向に、下顎臼歯は舌側方向へ変位をすることが報告されています。
つまり咬合する時に上下顎の歯列弓が小さくなるように、すなわち各歯のコンタクトが密になるようにそれぞれの歯は動いているのです。
この歯の変位量は咬合力が増加するにつれて大きくなりますが、その関係は正比例の関係にはなっていません。
まず、1kg以下のわずかな荷重量で歯は大きく変位し、その後は緩やかに変位量が増加します。
最初の急激な変化は歯根膜の変形に起因し、それ以降の緩やかな変化は主に骨の歪みに由来していると考えられています。
このようにほんの小さな力で歯が大きく変位することも、口腔内と石膏模型の咬合接触状態が異なることの一因となっているのです。
また、前述のように歯が変位することは、上下顎臼歯の位置関係が咬合力が増加するにつれて変化する可能性があると考えられ、噛みしめ強さの変化によって咬合接触点がどう変化するかということを調べた報告があります。
この報告に関してはまた後日お話させていただければと思います。
オオタケデンタルオフィス 小椋麗子