2010年4月 5日 (月)

歯は咬合時に動いています。 その4

軽くかんでもらって咬合調整を行った場合と強くかんでもらって咬合調整を行った場合では、最終的に咬合接触点が異なってくることは、日常の臨床において歯科医師の皆さんはご存知だと思います。


では、具体的にどのくらい、どのように異なるのか。

実際に研究してまとめた論文があります。


軽度噛みしめ時と強度噛みしめ時の咬頭かん合位での歯の変位と、咬合接触点を測定したものです。


結果、ほぼ同様の変位経路を経過して、強度噛みしめ時には変位経路を延長したということです。

また、咬合接触に関しては、軽度噛みしめ時にはほとんどの被験者で1点ずつであったものが、強度噛みしめ時には2?6箇所に増加するとともに咬合接触面積も増加したと報告されています。

さらに、軽度噛みしめ時に接触していたのは近遠心辺縁隆線部が多く、強度噛みしめ時には機能咬頭に咬合接触が見られるようになったということです。


変位経路を具体的に示すと、上顎5,6は噛みしめ強度に応じて歯根方向へ沈みながら口蓋側へ傾斜し、下顎6は舌側方向へ回転するように変位したということです。


これらの結果を考え合わせると、上顎6の舌側咬頭内斜面と下顎6の頬側咬頭内斜面が咬合接触接触していたのが、上顎6の中心溝に下顎6の頬側咬頭がかん合するような咬合接触に変化するものと考えられると結論づけられています。


ややこしくなりました。

まとめると、噛みしめる強さによって上下の歯で変位の方向も量も異なっていく。そのために、咬合接触状態が噛みしめる強さによってだんだん変わっていくことが具体的に示された論文です。


だからなんだ、結局どうやって咬合調整すればいいのか、ということに直接これだけで結びつけることはできないのですが、こういう歯の動きを頭に入れ、とにかく強く噛みしめた状態での咬合調整を行う必要はある、ということで次回につなげたいとおもいます。



オオタケデンタルオフィス 小椋麗子  www.o-dent.com