今日午後最初の患者は、歯科医でした。
セラミックインレーをセットをしました。セラミックインレーを接着する際には、歯面を酸で洗ったり、乾燥させたりします。その場合、生きている歯ですので、シミル可能性があるのです。
そこで、『酸処理、エアブローのとき痛かった?』と尋ねましたら、『全くしみない』とのことでした。
これは、絶対ではありませんが、レジンコーティング法による象牙細管の封鎖がしっかりとなされていた結果だと思います。
このレジンコーティング法は、3年前に歯科医師向けに本にも書きましたが、全ての歯科医師が行っているとは限らないようです。
僕の経験では、正直に言いまして、レジンコーティング処理がなされた場合でも、接着時に『しみる』という人は30%くらいはおります。が、接着後にその感覚が続くという人は殆どいません。
レジンコーティング法の利点は、術後の知覚過敏が減る、ということよりも...歯とセラミックの剛体条件の恒久化(言いすぎ?)にあると、思っております。
どういうことかと言いますと、例えば草が生えている(象牙質表面を例えております)ところに、しっかりとしたビル(セラミック)を、しっかりとした土台(硬化後のセメント)で建てた場合を想像してください。
少し心配です...
やはり、草が生えてる土の部分をコンクリート(レジンコーティング法)か何かで補強してから建てたいと思いませんか?
時々患者からこんな質問があります。
セラミックインレーとメタルインレーは色の差ですか?
と、僕はそうとは考えておりません。 メタルインレーは、歯との間に嵌合材料を介して作られたパッチワークのようなイメージです。 セラミックインレーは、有機質の豊富な歯の内面から再構築されていくイメージです。 1.セラミックインレーは咬合(かみ合わせ)に耐え得る性質を有し、2.接着される側の象牙質には有機質を優しく保護しながら、セラミックインレーへの歪を大きくさせない材料(レジンコーティング材)が必要で、3.その間をそれらの中間的な性質と流れを有するセメントによって再構築させる治療方法だと、差を明確に感じております。
一言に、"歯を修復する"というのは、1つの材料で行うことでは乱暴な発想なのかも知れません。1つの修復によって、歯の象牙質とエナメル質の補強を同時に行わなければならないのですから。
材料の膨張収縮の"量"、膨張収縮の"方向"(これ意外に大切)を考え、レジンコーティング材料はなるべく薄くしたりすることも大切で、その具体的な方法も当院では工夫を重ねてきました。カナダにいるときには力学的観点からそれらをシミュレートできないか...と試みましたが、なかなか難しい問題でした。
またスタッフに、『先生の文章はわかりにくい』と怒られそうですので、今日はこのへんで
大竹貫洋